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イ族サニ刺繍

著者: ソース: 更新:2019-04-28

「阿着底はいいところだ。サニ人は勇敢で力強い。……たいまつ祭はサニ人の祭りで、たいまつ祭になると誰もが忙しくなる。ツバキはサニ人の花で、真っ赤なツバキは天下無双。ツバキの刺繍を、レスリングの勝者に羽織らせる。」大きなガジュマルの後ろから歌声が流れてきて、木の幹の後ろに回ったら、阿詩瑪が歌いながら長い絹織物に花の模様を刺繍しているのが見える。頭の回転が速くて手先も器用な阿詩瑪が針を飛ばし糸を走らせ、レスリングの英雄のために赤いツバキを刺繍している映画『阿詩瑪』にあるこの名シーンは誰もが忘れられないだろう。これは石林イ族のサニ刺繍が映画に登場した最初の記録である。

石林イ族刺繍の歴史が非常に長い。晋寧石寨山で出土した青銅器にある一部の人物像の服に刺繍模様の痕跡がある。紀元223年、諸葛亮は南征し、成都の瑞錦を少数民族に賜い、そして叟帥(叟人の首領)の孟獲、孟琰、爨習を蜀の政権に引き入れた。これらの叟帥の夫人は蜀で漢民族の刺繍技法を習得し、郷里に帰って昆叟の女子たちに伝授した。話によると、孟獲夫人は曲靖大基山の中で針を飛ばし糸を走らせ、一夜にして龍衣を刺繍したため、人々に刺繍の女神として崇められているという。紀元8世紀の初め頃、南詔王嵯巓は成都を攻略し、漢民族の刺繍女工と蜀錦の原料を略奪し、南詔の刺繍技法を大いに発展させた。『新唐書・南詔伝』はこれについて「将軍が帰還し、女子の熟練工数万人を略奪し……それから南詔は多色の模様のある織物に長じるようになり、中原に等しい」と記載している。樊綽の『蛮書』も南詔の刺繍について「糸取りの方法は中原と少々異なるが、精製された糸で綾を紡ぎ、また錦や絹も紡ぐ。紡糸をする職人はの赤と紫の上着を着て、織物の模様が緻密で色とりどりで……刺繍もある。蛮王と清平官(宰相に相当する官職)の着る礼服は、すべて色鮮やかで美しい織物で作られ、波羅(虎)の皮を飾り付けている。南詔の風俗では、絹織物の織り方が分からないが、太和三年、蛮は西川を侵略し、腕前がずば抜けている職人と女工を多く略奪したため、今はみんなが絹織物の織り方を知っている。元明清の時代に、刺繍はイ族の女性の間で盛んになり、刺繍の材質が増え、模様や図案の色もより豊かになった。近代に至るまで、石林イ族の刺繍は依然として濃厚な地域特色と民族風格を維持している。

農作業の合間に、女性たちは麻を編み、糸を紡ぎ、布を織り、更に針を飛ばし糸を走らし、様々な模様を刺繍し、少年時代から熟練した刺繍のわざを身につけている。刺繍する時、模様を描かないで、線を引かないで、あらかじめきちんと考えて、聡明な頭脳と器用な手先で、多種多彩模様を刺繍している。刺繍の模様は、わけもなく想像したものではなく、生活に由来するものである。石林の独特な山川や地形、風物や特産品、普段の暮らしでよく見かける花や鳥、魚や虫、鳥や獣は、イ族の女性女たちの模写、洗練、要約を経て、丹念に練ったアイデアと巧みな組み立によって、目を奪うほど鮮やかで多様な模様になり、イ族の女性女たちの美意識と幸福な生活への憧れを十分に表している。

イ族サニ人の手作り刺繍に使われている伝統的な布地は村人たちが自ら紡いだ麻の布と手織りの布であるが、今は機械で作られた綿布や化繊布が多く使われている。刺繍糸は刺繍の種類によって、絹糸、十字糸とカシミヤ糸(アクリル毛糸)の3種類がおおむね使われている。伝統的な刺繍の模様は大きく二種類に分けられる。一つはクロスステッチを中心とした抽象的幾何模様である。三味線花(すなわちサニ人の伝統楽器である大三味線の棹の仕様をモチーフとした模様)、八角花、ヒマワリ、ツツジ、ケイカ、四弁花、八弁花、木目、及び簡単な回字模様、菱形、三角形、縞模様等の模様が最もよく見られる。もう一つは平繍を主とした比較的繊細で和やかな実写的な花模様である。その多くは実際の生活環境にある草花模様、例えばツバキ、ツツジ、ザクロの花、ハスの花などに由来するものである。今の石林イ族刺繍工芸品の図案は基本的に伝統的な紋様をそのまま用いられている。そして、クロスステッチの幾何模様を中心に、中心対称または軸対称の特徴が顕著である。色の組み合わせについては、主に黒色、紺色または白の布地を用いて刺繍を施し、黄色、オレンジ、赤のもたまに使われる。

昔、刺繍製品は単独では使われることなく、服の飾りとして、主にサニ女性のターバン、襟、前おくみ、袖、裾、ズボンの脚、腰巻き、飾りリボン、及び子供の帽子、ショルダーバッグ、アッパーなどに使われていた。彼女たちは密集した縫い目で、衣服の磨耗しやすいところの耐摩耗性を高める同時に、衣服の耐用期間を伸ばした。市場需要の出現に伴い、現在の石林イ族の刺繍工芸品は主に、生活用用品のショルダーバッグ・バックパック・ウエストバッグ・ショルダーバッグ・財布・手袋・テーブルクロス・クッション・スマホカバー・ティーカップマット・電話機マット、服飾類の上着・コート・ストール・スカーフ・ネクタイ・刺繍をした婦人靴、及び装飾類の壁掛け、匂い袋などがある。装飾としての美的センスもあれば、幅広い実用的価値もある刺繍工芸品は、石林民間芸術のなかで最も特色のある伝統工芸品である。

石林県のイ族サニ人の伝統社会では、民間刺繍は女性の必修科目である。刺繍はサニ女子に必須の技能であり、刺繍技術のレベルはサニ女子の器用さと賢く家事を取り仕切る能力を示していると、石林イ族の村民は一般的にそう考えている。また、昔、刺繍技術は若い男性が配偶者を選ぶ重要な基準だった。恋を語り愛情を告白する時、男性が女性から真っ先に求めるのは女性の身辺に付き添う刺繍品──刺繍のベルトである。そのため、昔のサニ女性が刺繍ができなければ、馬鹿にされてしまい、嫁ぎ先も見つけられなくなる。現在、現地経済の発展に伴い、刺繍技術をパートナー選びの基準とする観念が薄れつつあるが、刺繍はサニ女子にとっての必須技能という見方はほとんど変わっていない。村の成人女性は昼は畑仕事に出かけ、夜は家で刺繍をする。まだ学校に通っている女の子でさえ、家に帰って宿題を終わられた後の主な活動は刺繍を手に取り、針に糸を通し、刺繍することである。彼女たちが作ったのは主に個人の服に使う装飾であり、模様や色の組み合わせは個人の好みに応じて設計される。

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アフター: サニ人の麻の上着

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